テイスティングですするのはなぜ?

コーヒーでも中国茶、日本茶、紅茶でも、味や香りをプロがテイスティングするとき、ズズってすすったりします。何故だと思いますか?
実はちゃんと理由があるんです。

tasting2味や香りは受容体と呼ばれるセンサーで感じ取ります。
例えば、味のセンサーは舌にある味蕾(みらい)と呼ばれる受容体で感じます。また、匂いも鼻のセンサーで感じ取ります。
この受容体は、味や香りの種類によって、それぞれセンサーがちがいます。ただ、その種類が違うんです。

味の基本に塩味、酸味、甘み、苦味、あるいは旨味なと、いろいろありますが、それぞれ感じ取るセンサーの数が違います。
甘みや旨味は、それぞれ受容体は1種類しかありません。ただし、苦味だけは数十種類あります。
なぜかというと、苦味は動物にとっては毒のシグナルだからです。
自然界の毒を感じ取るためにセンサーの数も多いんですね。

かたや匂いのセンサーは288種類もあります。わんちゃんや猫ちゃんにいたっては、匂いセンサーは1000種類以上になるそうです。すごいですよね。嗅覚が原始感覚と呼ばれる所以です。

御存知のとおり、食べ物、飲み物には、数え切れないほどの種類がありますよね。
それでいて膨大な味のなかで、甘みや旨味はたった1種類のセンサーで違いを感じ取らなくてはいけないのです。
とうてい違いを区別することは不可能です。だから「甘い」か「美味い」ぐらいしか際立った表現方法はありません。

そこで匂いセンサーの出番なんです。

288種の匂いセンサーが味のセンサーを助け様々な味や香りのバリエーションを区別してるんです。

それを人は風味と呼びます。

tasting3テイスティングのプロが、ずずっとやるのは、味だけで区別できない違いを匂いセンサーでさらに細かく分析し、最終的に風味の違いとして感じ分けるためなんですね。

口から鼻に抜ける香りと味の基本の組み合わせを感じ分けているわけです。

風味は味や香りだけではなく食感も関係します。
懐かしい味、野菜の微妙な違い、お出汁の旨味や旬の果物の美味しさ、みんな風味として記憶しているんですね。

これは特別な能力ではなく、訓練すればできるようになります。

マイスターと呼ばれる人はみな訓練して経験則を学んでいるんですね。

文責橋口

 

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