シナモン Cinnamon
学名:Cinnamomum verum
和名・別名:桂皮
科名:クスノキ科
使用部位:樹皮部
原産地:中国、東南アジアなど
<どんなハーブ?>
クスノキ科クスノキ属の熱帯性常緑樹の中でも芳香性にすぐれた樹皮を乾燥させたもの。スパイスに利用される常緑樹は数種類ありますが、代表的なものはカシア(Cinnamomum cassia)とセイロンシナモン(Cinnamomum verum)の2種類があります。それぞれ学名も違う別種です。
日本の関東以西でみかける「楠」も同じ仲間ですが、比較的その芳香は弱いです。日本では肉桂、桂皮、ニッキと呼ばれ、医療や製菓の原料や材料として利用されています。月桂樹に似た常緑樹の幹や枝の皮をはぎ取り乾燥したもので、シナモン(セイロンシナモン)は明褐色でそう快な特有の甘味を帯びた香りを持ち、刺激味はほとんどありません。
セイロンシナモン(左)とカシア(右)
シナモンは中国伝統医学やアユルヴェーダなどアジアの古代医学では下痢や風邪の治療でも利用されてきました。日本に伝わった経緯も漢方薬としての目的でした。発汗、解熱、芳香性健胃、駆風薬として、頭痛、発熱、のぼせ、感冒、身体疼痛などに応用されています。
食材としてはパイ、プリン、ドーナツ、八ツ橋など菓子・ケーキ類に使われるほか、カレー粉、ソース、ケチャップ、ピクルス、ソーセージ、ハンバーグなどの原料として幅広く使われます。代表的な中国の混合スパイス「五香粉」の原料にもなっているほか、リキュールや紅茶、アイスクリームなど、飲み物やデザート類の香りづけにも重宝されています。
<香りの特徴>
ドライはスパイシー&ウッディ―で濃厚な強い香りです。ティーはどっしりとしたウッディ―な香りと華やかでフルーティーな香りがします。成分は精油成分のシンナムアルデヒド、オイゲノールなどです。40°C前後で最も香りを発散するので、ぬるめのお湯でゆっくり10分以上抽出します。
<味の特徴>
芳醇な香りと旨みから風味が形成されます。シナモンの甘味成分はシンナムタンニンです。一般にタンニンは渋味、えぐみの本体として 知られていますが、甘味をもつシンナムタンニンは特徴的です。冷めるとさらに甘味が強くなり、少し苦味もあります。
<水色>
ドライ:黄土色。
水色:薄茶色の透明。
<飲み方ワンポイント>
シナモンは日本人も食べなれており、少量をブレンドすると甘くなり飲みやすくなります。ハーブ ティーを飲んでいる途中で、パウダーを振って味を変えても面白いです。イギリスではシナモンハーブをワインと煮立たせて、マルトワインとしてクリスマスなどに飲まれています。シナモンは甘いものや甘い香りが特徴的な料理に用いることで、より一層甘味が強まるという相乗効果があります。